「お前如きがあの人の正義を、汚い言葉で語るんじゃないよ」
刀が一閃して飛び散る血。驚愕の形に開かれた目と口が、その形のまま動きを止めてずるりと傾ぐ。監察風情が、と言葉になったかどうか。びしゃりと血が跳ねた。
「殺せやしないと、思ったかい?」
薄く笑い、刀を一振りして血を払う。すでにただの肉となった塊に片足を乗せて体重をかけた。
「お前程度の小物一匹殺せぬようで、鬼副長の狗は務まらんさ」
肉の纏う布で刀の脂を拭って、かちりとそれを鞘に収めた。
一歩歩き出せば、重い靴がぴしゃと血を跳ねる。
(……あ、マヨネーズ買って帰らなきゃ)