お前なんか死んじまえよ糞、と言いながらぎちぎちと首を絞める指が、手が、熱い。
的確に咽喉を締め上げられて俺の視界は朦朧としていく。その、ぼやける世界に映る、色。もうだんだんと輪郭がはっきりしなくなり色合いでしか表現できないそれ。肌色。これは顔だ。黒。これは髪だ。紫。これは?
唇が青ざめているのだと気づいたら思わず指を伸ばしていた。触れる。乾いて荒れた感触が指に返る。痛そうだ。
咽喉にかかる力は構わず強くなる。呪詛のような言葉が落ちてくる。
おまえなんかしんじまえよ、くそ、しんで、おんなにうまれかわってこいよ。おれァもういやなんだ、こんなのはいやなんだ、おまえをなぐるのもけるのも、くるしいんだ、おれァおまえをだいじにしてえんだ、くそ、しんじまえ、
ああ、この人をここまで追い込んだのが自分だということが俺はたまらなく嬉しい。これは異常だろうか。
視界はどんどんぼやけていって終には色も分からなくなる。ああもう死ぬのだと思って、最後の言葉は何がいいかを考える。好きです、愛しています、など。考えて、考えて、けれどもう酸素は脳に届かないので結局、
「ひじかたさん」
呼びなれた名前を呼んだ。
ぼたりと温かい液体が落ちてくる。泣いているのかなぁ。嬉しいと思ってごめんなさい。
いとしい愛しい、俺の神様。